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タクシーに防犯カメラが設置されるようになって久しい昨今、タクシー強盗が減ったという話をここ十年耳にしたことがありません。
それどころか、テレビでは連日のように乗務員が暴行される様子が放送され、安全性に問題があることが浮き彫りになっています。 現に、2015年に秋田県で起きたタクシー強盗では、防犯カメラが設置されていたにもかかわらず乗務員が殺害されています。 悲劇はなぜ繰り返されるのか? 今回はその根本原因を探るとともに、効果的なタクシーの防犯対策を考えてみます。 東タク防犯会報 タクシー強盗事件の概況 http://thtmic.or.jp/pdf/no265.pdf タクシー強盗がなくならない根本原因 警察庁はタクシーを対象とした強盗殺人や殺人未遂事件が相次いだ平成16年に「タクシー強盗防犯対策会議」を設置し、警察庁・国交省・全タク連・個タク協会・全自交・自交総連など関係者と協議を重ね、「タクシー防犯基準」を策定しました。 「タクシーの防犯基準」について(通達) https://www.npa.go.jp/pdc/notification/seian/seiki/seianki20090417.pdf この協議のなかで出席者からは、防犯仕切板の設置を義務化し、形状も防犯に役立つよう基準を設けるべきだとの意見が共通して出されたほか、車内カメラの設置、音響や煙で防犯するものなどについても積極的に活用すべきとの意見が出されました。 自交総連の菊池書記次長(当時)は、緊急にすべきこととして ①防犯仕切板の義務化と形状の基準の策定 ②車載カメラの設置 ③緊急時に身体防御できるようシートベルトの改善 ④犯罪の下地となる運賃踏み倒しの手口紹介などのインターネット上の情報の摘発 などを主張。 中・長期的な課題としては、運転席・乗客席の完全分離、助手席は乗客席としないなどの抜本対策を検討する必要があると指摘しました。(自交総連情報より抜粋) 自交総連情報 [警察庁] 労使・行政が参加しタクシー防犯対策会議 http://www.jikosoren.jp/sokuhojyoho/syunto/2009/jyoho090119.html しかし、菊池書記次長の訴えも虚しく 犯人の攻撃を物理的に「防止」する「防犯仕切板の義務化と形状の基準の策定」は見送られ、タクシー会社の裁量に委ねられることになりました。 そのため大手タクシー会社では、防犯効果がほとんど無い小さなアクリル板や、安価な防犯スプレーで済ませてしまうところが続出する呆れた事態に。 何のためにタクシー防犯基準を策定したのですか??? 誰もがそう思わずにいられないお粗末な会議なのでした。 都内のタクシープールで待機するタクシーをチェックすると、防犯仕切板を装着していないか、装着していても運転席の首から上の部分だけを防御するタイプが主流で、「防犯」とは名ばかりの犯罪防止効果が全く無い まがい物 を装着した車ばかりです。 会議のお粗末さを裏付けるように、刃物を使用した凶悪な強盗事件が後を絶ちません。 東タク防犯会報 第247号 http://thtmic.or.jp/pdf/no247.pdf ![]() ![]() 東京タクシー防犯協力会でも、写真にあるタイプの防犯仕切板は犯罪防止効果が無いと分析しています。 同協力会は、結成目的である「乗務員の安全確保」に則り、仕切板の改良ないし運転席から助手席にかかて完全に分離するタイプの仕切板開発に乗り出さなければいけないところですが、接客や車内空調を理由に仕切板の大型化に難色を示しています。仕切板に小さな穴をいくつかあければ済むだけの話なのにです。 要するに、防犯協力会自体が東京ハイヤー・タクシー交通共済協同組合に加入しているタクシー会社で構成されているため、会員会社の「経費の掛かる防犯対策は義務化しないでほしい」といった声に配慮しているのです。 防犯協力会は、犯人の特徴や手口など、乗務員にとって有益な情報を発信している有難い存在だけに、この配慮は非常に残念でなりません。 東京ハイヤー・タクシー協会にも同じ事が言えます。 日本交通で会長を務める川鍋氏は「東京ハイ・タク協会から補助金がでないと設置できない」として、長年にわたり自社のタクシーに防犯仕切板を設置していません(ごく一部のタクシーには、まがい物のアクリル板を設置していますが)。 その発言をうけて東京ハイ・タク協会(現会長は川鍋氏)は「原資がない」との理由で補助金の話を先送りにしています。 つまり、自分で自分に配慮するという腹話術ネタのようなことをやっているのです。 日本交通は補助金がなくても設置するのに十分な利益を上げているにもかかわらずです。 結論 人命よりも企業利益を優先した一部の心無い経営者のせいでタクシー強盗が無くならない 効果的なタクシーの防犯対策 これは言うまでもなく、先の根本原因で取り上げた①~④に尽きるでしょう。 また、タクシー強盗の形態で一番多い、料金を支払わない客を追いかけて暴行を振るわれるケースについては、追いかけなければ良いだけのことです。 以上のことを実行するだけでタクシー強盗はほぼ無くなります。 あとは、これらの効果的な防犯対策を、いかに実現していくかが今後の課題です。 そこで、まず第一弾として私たち日本交通労働組合三鷹支部は、「タクシーの防犯基準」の見直しを求める書面を警察庁長官に郵送提出しました。 要求(要旨) ① 犯人の攻撃を物理的に「防止」できる防犯仕切板の設置を義務化すること ② 犯人の犯行を「抑止」する防犯カメラの設置を義務化すること 説明(一部抜粋) 現在大手のタクシー会社を中心に女性や新卒を積極的に採用しています。しかし、女性は力が弱く、新卒者に至っては対人関係のトラブル処理が未熟である者も多いことから、強盗やハラスメントの被害に遭いやすい状況にあります。 それにもかかわらず、一部の心無い経営者は、防犯仕切板を廃止し、乗務員の労務管理や接客チェック、事故再発防止トレーニングにも活用できる防犯カメラに切り替えています。 防犯カメラは犯罪の 「抑止」 効果を期待できることから導入には賛成です。しかし、防犯カメラを導入する代わりに防犯仕切板を廃止してしまうというのでは、犯罪の 「防止」 効果が無くなってしまい本末転倒です。 これらの動きに対しても警鐘を鳴らすべく、早急な「タクシーの防犯基準」の見直しを強く求めます。 第二弾は、組合本部や上部団体を巻き込んでの請願行動を計画中です。乞うご期待。 最後に 当組合は、女性乗務員が犠牲になる前に、タクシー乗務員が危険にさらされた状態で仕事をしていることを広く世間に訴えていきたいと思います。 ご協力いただける方は、下のボタンを「ポチッ」とお願いいたします。 |
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